ここ伏見稲荷界隈は全国でも稀な神具専門店が軒を連ねる地域です!参道を歩くと飲食店・土産物店の中に神棚や神具を並べている店が点々とあることに気付かれるでしょう。 さて、神さまにお供えする神器類の配置をよく問い合わせいただきます。三方(さんぽう)のとじ目を手前にし、奥に新酒入(みきいれ)、手前に高杯(たかはい/たかつき)、 三方の真ん中に水玉(みずたま)を置くのが一般的です。神酒入にはお酒(清酒)を、水玉には初水を、高杯は向かって右側に洗米、左に塩を供えます。初水と洗米は毎日、 お酒と塩は一日、十五日おきに供えるのが通常です。お酒は傷みやすいのでその日に下げられます。何事も難しく考えず、先ずは初水だけでも毎日供えることからはじめてみてもいいですね!
さて、ここ伏見稲荷にこれほどの神具店が増えたのには幾つかの理由があるでしょうが、1つに伏見稲荷大社の「ご分社・ご分霊」制が関係していると言えます。
伏見稲荷大社では稲荷大神さまの「分け神璽(わけみたま)」を授かることができます伏見稲荷大社のご分社は3万社とも3万5千社とも言われ、
ご家庭・会社なども含めると数え切れない分け神璽が授かられていることでしょう。
そうして授かった神璽を祀るための社を製造・販売とするところが一つ二つと増えていったのではないでしょうか…?
社は(ヤシロ)は「ヤ・シロ(屋代)」の義で神域、聖なる場所を示すもので、石でも、岩でも木でも、依代(よりしろ)であれば何でもよかったのですが、
後世、社殿が建てられ、その依代を中で祀るようになったといわれています。ここ稲荷大社の「お山信仰」、奈良の三輪山の大神神社などが神社の古体を示す良い例でしょう。
さて、社の屋根の両端に大きく交差している木組みを千木(ちぎ)と言います。いくつかの様式はありますが、この千木の先端の切り口は垂直に切ってあるのが男神、
水平なのが女神を表すといわれます。ちなみに伊勢神宮、内宮は水平に外宮は垂直に切られています。また、同じように屋根に置かれた丸い木を鰹魚木(かつおぎ)といい、
男神は奇数、女神は偶数置かれます。ちなみに内宮は10本、外宮は9本置かれています。伏見稲荷大社、本殿より置くには「両宮社」という社殿があります。これは呼んで字の如く、
内宮と外宮の様式が混在した社殿です。